蜜林檎 *Ⅱ*

掴んだ愛

会場内へ入る
ファンの群れから離れた
この場所であの日のように
杏は、瑠璃子を待つ。
  
そして、同じように通りへ
と出てみた。

そう、この場所で

杏は樹に出会った。
   
サングラスの奥の綺麗な瞳に
杏は魅せられ、憧れの人の
存在に、感激で胸がいっぱい
になり瞳から涙が溢れた。

あの後、杏はこう思った。

『あの出来事以上の何かを
 望んだとしても
 それは、無理な話・・・
 
 この日の出来事を
 二度と忘れない』

そんな杏の想いとは、うらはら
に二人は悪戯な運命に
引き寄せられていった。

『恋に溺れるなんて

 どうかしている

 恋人なんていらない』
< 260 / 275 >

この作品をシェア

pagetop