蜜林檎 *Ⅱ*

蜜林檎

結婚式の数日前。

二人で過ごす午後。
 
二人は、楽しげに夕食を
取っていた。
 
杏は、お箸を揃えて
テーブルに置いた。
  
「ごちそうさまでした・・・
   
 そうだ、イツキ、前にも
 話したけど、私、式の前日は
 実家に戻って、翌朝
 実家から式場に向かうから
 当日はイツキ、一人で行動
 しなきゃいけないけど
 大丈夫かな?」

「大丈夫だよ、向こうで
 式の準備は全部して
 もらえるし
 何か持っていくものがあれば
 それまでに用意して置いて
 くれれば持って行くよ」

「うん」

あの事故の後から、杏はいつも
入浴後の樹の髪を拭いて
櫛で梳いてあげるように
なっていた。

「式までに髪、短く切るよ」

「すごく似合ってるのに
 切らなくていいよ
 このままがいい」
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