蜜林檎 *Ⅱ*
「イッキ、アンを頼みます」

「はい」

父親の腕から離れる娘、杏の手
 
雅也に一礼した杏の瞳から

綺麗な涙が流れた。
 
その涙を見た樹は

二度と杏を泣かせたりしない。
 
そう、心に誓い

杏の手をとる。

みんなが見つめる目の前で

二人は永久の愛を誓う。

「健やかなる時も病める時も

 あなただけを

 愛することを、ここに誓う」

ウェディングベールをあげる
新郎、微笑みかける新婦。
 
二人は、近いのキスを交わす。

そして樹は杏を

ありったけの愛を込めて

抱きしめた。
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