蜜林檎 *Ⅱ*
少女は、絵を描こうと思ったが
林檎を持つ手が塞がって
描くことができない。
  
友達と話をする姉の元へ、少女
は林檎を渡す為に駆け寄る。
 
「ユリちゃん
 リンゴ、もってて」 

「アン、どうしたの、林檎?」

そう、林檎を受け取った少女は
杏だった。
 
そして、林檎を杏にプレゼント
したのは・・・樹だった。

杏は、後ろ姿の樹を指差した。

「あの、おにいちゃんに
 もらったの
   
 おにいちゃん、ありがとう」

杏の声は遠く

樹のところまで聞こえた。

その声に振り返った樹に

百合は頭を下げた。
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