蜜林檎 *Ⅱ*
「イッキ、その時の俺や
 ユリの気持ち
 おまえにはわかるだろう?
  
 本当の母親が親権をとれない
 そんなに悔しくて悲しい事は
 ない、ひどい絶望感を・・・
  
 その後、またユリの病気が
 酷くなっていった
 
 シン、今の旦那と出会って
 ナナという可愛い娘、宝を
 得て、ユリはやっと、長い
 苦痛から解放されたんだ」

「俺は、何も知らないで・・・
 ユリになんて言えばいい
 ・・・」

「俺もただの親バカだよ
 娘には幸せになってもらいたい
 杏の事を思うとイッキとの事を
 許すのが筋かも知れない
  
 だけど、ユリの人生が傾いた事
 に少なからずイッキとの事が
 絡んでいる以上、わしは認める
 事はできない
  
 レツは今も、ちがう姓で
 生きているんだ・・・
 何も知らずに」
< 28 / 275 >

この作品をシェア

pagetop