蜜林檎 *Ⅱ*
「アン、お帰り・・・」

「お父さん、私
 この家を出て行きます」

「何を言ってるんだ
 ・・・アン」

「イツキの傍に居たいから」

そう言って、何も持たずに杏は
樹の後を追いかけて行く。

樹の寂しげな後姿に

杏は叫ぶ・・・

「イツキ・・・」

そして樹に抱きつき、彼の胸に
頬を寄せて呟いた。

「私、もう
 あの家には戻らない
 イツキとずっと一緒いる
 ・・・いいよね?」

杏を胸に抱き

樹はどうすればいい・・・・
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