蜜林檎 *Ⅱ*
分からない・・・

一方的な別れを樹からではなく

雅也の口から聞かされるなんて

・・・・・・ 

「どうして・・・イツキ」

杏は百合から離れ、お店のドア
を開けて走って出て行く。

その足は、樹の元へと向かう。

「アン・・・待つんだ」

杏は、自分を呼び止める雅也
の声に振り向くことは無い。

『今すぐ、イツキに逢いたい
 逢って話さなくちゃいけない
 
 彼の口から
 ちゃんと聞きたい』
 
それは嘘だよ・・・

間違いだよ・・・。
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