蜜林檎 *Ⅱ*
大きく深呼吸をする樹の
極度の緊張を感じとった百合。

「そんなに、緊張しなくて
 いいのに
 
 昔と全く変わってない
 でしょう」

樹は、部屋の中を見渡して
何ひとつ変わらない昔のままの
温かい雰囲気に心を和ませた。

「うん・・・
 すごく、なつかしいよ」

リビングへ向かうと、イスから
立ち上がる雅也。
 
雅也もまた、樹と同じように
緊張していた。

「おう、久しぶりだな
 イッキ、こっちに座れ」

「はい、親父さん
 ご無沙汰しています」

「何か飲むだろう?
 ユリ、用意して」

「コーヒーでいいかな・・・
 ブラックだよね」
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