蜜林檎 *Ⅱ*
水を含んだ衣服が

体にまとわり付く・・・

髪から零れ落ちる滴が

額から瞳へと流れていく。

『杏・・・さようなら』

こうして過去の出来事に

今また
縛られてしまった樹・・・

彼は、自分の真実の想いを
閉じ込めて、嘘をつき

愛しい彼女に別れを告げた。
 
彼との未来を夢見た彼女は

彼の嘘を真実と受け留める。

『彼の私への愛は

 全て嘘だった・・・』

二人は・・・別れた。
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