蜜林檎 *Ⅱ*
杏の姉、百合と樹の間に
子供がいた事実に胸の鼓動は
早くなる。

「イツキに、そんなに
 大きな子供がいたなんて・・
 でも、イツキは何も知らされ
 ていなかった訳でしょう?
 こういう言い方は
 どうかと思うけど・・・
 お姉さんは一人で勝手に
 子供を産む事を
 決めてしまった」

本来なら、パートナーに言う
義務があり、二人でどうする
べきか考えなくてはいけない
問題だったにも拘らず。
 
愛する樹の為にとった決死の
選択だったとしても
それは、間違っていた。
 
「だから、その事で樹が
 自分を責める事は
 無いようにも思うけど・・・
 
 現実に、この世に自分の
 子供がいると知ってしまった
 以上は、そうも言っては
 いられない、俺には関係ない
 気にすること無い・・・
 なんて言えない
   
 イツキがアンとの別れを
 選んだのは
 わかるような気がする」
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