蜜林檎 *Ⅱ*
話を終えた瑠璃子と杏は
仲間の待つテーブル席へと戻る

久しぶりに会う同窓生達と
楽しいひと時を過ごしている間
も杏はふと、樹の事を考えて
しまい、暗く落ち込んでしまう
のだった。

それではいけない・・・

そう思った杏は苦手なお酒を
ほんの少しだけ飲み 
樹の事を考えないようにした。
 
そして時は過ぎ、また会う約束
を交わして同窓生達とは別れた

杏と瑠璃子と蒼一は、タクシー
を掴まえる為に路地を向けて
大きな道へと歩いている。
 
その時、瑠璃子の携帯電話が
暗い夜道に鳴り響く。
 
携帯に出た瑠璃子の声は
どこか元気がない。

「もう、話す事は何もないよ
 ちょっと、家で待ってるって
 こんな時間にどうして・・」
  
用件だけを話して、電話を
切ったその相手は、瑠璃子
の恋人だった。
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