蜜林檎 *Ⅱ*
「ユリちゃん・・・ごめんね
 心配かけちゃって
 それにお店の手伝いも
 できなくて・・・
 本当に、ごめんなさい」

「家の事は
 気にしなくていいよ
 なんとかやってるから・・・
 それより、どうなの?
 気持ちは・・・落ち着いた?
 家には、戻ってこれそう?」

杏は、黙ったまま俯く。
 
「ひと月程度で、落ち着く
 わけがないね・・・
 杏がまだソウちゃんの家に
 居たいならそうしなさい・・
 帰りたくなったら
 いつでも
 迎えに来てあげるから」

「ごめんね、ユリちゃん
 もう少しだけ・・・
 時間をください
 ソウちゃんにすごい
 迷惑かけてるのは
 分かっているんだけど
 今はまだ・・・」

「最近のお父さん、元気無いよ
 ・・・毎日、自分を責めてる
 この間も、いっそアンに
 罵られて責められた方が
 いいって
 お酒飲んでぼやいてたわ」
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