蜜林檎 *Ⅱ*
「アン・・お父さんに言いたい
 事、全部言えばいいんだよ
 イッキと別れたのはお父さん
 のせいだって
 そう、言えばいい
 
 ちゃんと言葉にして
 吐き出さなくちゃ
 一歩も前へは進めないよ
 その言葉が、ひどく相手を
 傷つけたとしても」

杏は、首を振る。

「お父さんは何も悪くないよ
 恋愛は当人同士の問題
 だもの
 お父さんは関係ない
 これは、わたしの問題なの」

「そう・・・ね・・・」

百合は、ベンチから立ち上がり
花壇に咲く花を見つめながら
話を進めた。

「この間
 イッキに会ったのよ」 

俯く杏の顔が、真っ直ぐに
百合を見つめた。

「イツキに・・・」

「どうしても、レツの事を
 聞かせてほしいって
 言われてね・・・」
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