蜜林檎 *Ⅱ*
二人は、他愛ない話をしながら
駅までの道のりを並んで歩いた
  
お腹の大きな百合は、切符を
持ち改札口をぬけて行く。
 
その姿を見送り手を振る杏に
百合は大きな声で告げる。
  
「アン、よく聞いて・・・
 イッキが貴方に告げた
 別れの言葉は、全て嘘なのよ
 決して、アンを嫌いになった
 わけじゃない
   
 今の彼は、ただ自分に自信を
 持てなくなっているだけなの
 この先、一緒にいてもアン
 貴女を傷つけてしまうかも
 しれない
 それが・・・
 彼は、こわいだけなの」

百合の言葉に杏の胸が震え
瞳いっぱいに涙が溢れた。

「こんなところで燻ぶってない
 で、イッキの所に行きなさい
 分かった、アン・・・」

杏は、百合に向かって何度も
頷いた。

「ありがとう・・・ユリちゃん
 ありがとう」

『私は、なんて馬鹿なの・・』
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