蜜林檎 *Ⅱ*
抱きしめる力は、どんどん
強くなって行く。
 
その力の凄まじさに
杏は身動きをとれない。

痛くて・・・苦しい。
  
「痛いよ・・・ソウ・・・」

そして、蒼一は顔を何度と
逸らし、嫌がる杏に無理やり
熱い口づけを交わす。
  
蒼一の手が、杏の胸元に触れる

「やめて・・・ソウちゃん」

杏の声が、恐怖に
脅え震えている。

「お願いだから・・・」
   
蒼一は、杏から離れて
頭を抱える。

杏は蒼一から逃げるように
その場を立ち去ろうと
玄関先へ向かう。
 
慌てて靴を履く杏に

聞こえた蒼一の声。
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