蜜林檎 *Ⅱ*
眠れない原因・・・

それは、激しく騒ぐ胸の鼓動。

胸の痛み・・・

樹は、優しい夜風に触れながら

その胸の鼓動を落ち着かせて
いく。
  
ちょうど、その頃、杏もまた
樹と同じように、眠れない夜
を過ごしていた。

何の着衣も身につけないまま
シングルベッドで眠りに
ついている蒼一。

杏は、蒼一のTシャツを
身に纏い、夜空を見上げ

樹への想いを、胸の
ずっと奥に閉じ込め・・・
 
蒼一を愛する事を心に誓った。

『イツキ、あなたを愛してる
 だけど、さようなら
 
 貴方の嘘に気づく事が
 できなくて
 ・・・ごめんね』

同じ夜空を見上げる樹と、杏
 
二人は、それぞれの長い夜を

胸の痛みに耐える。
< 73 / 275 >

この作品をシェア

pagetop