蜜林檎 *Ⅱ*
頭を下げる二人、雅也は
黙って何かを考えている。
 
見兼ねた百合は間に入る。

「お父さん
 何か答えてあげて・・・」

「イッキ、すまない
 それだけは
 許す事はできない」

「・・・お父さん」
 
聞かなくても、雅也の答えは
分かっていた。

だけど、杏はひとつの望みに
かけていた。
 
しかし、雅也の想いは
変わらない。

「こんなところまで来て
 もらって悪いが
 俺の気持ちは変わらない」

「親父さんに僕達の事を
 許して頂けないことは
 分かっていました
 
 俺が、ユリさんにしたことを
 思うと、ほんと、虫のいい話
 だと思います」

樹と別れた後の百合は、それは
ヒドい状態だった。
 
妙に明るいかと思うと数時間後
には落ち込んで、涙を流して
部屋に閉じこもる毎日。
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