蜜林檎 *Ⅱ*
「ただいま」

店内に入る杏を、百合は
呼び止めた。

「アン、ちょっといい?」

「どうした、ユリ・・・
 血相を変えて
 話なら、ここで」

「お父さんは黙ってて
 アンと二人だけで
 話がしたいの
   
 ソウちゃん、ごめんね
 アンを少し借りるわね」

杏の部屋に入ると、樹から
もらったドレスがクローゼット
から出されていた。

「どうして・・・」

飾られたサイン

机の引き出しの中には
樹に貰ったチケット。
 
ここは、樹との思い出で
溢れている。

飾られたポスター
モーメント関連の物。

『ここで私は
 
 イツキに恋をした』

「アン、単刀直入に聞くけど
 本気なの?
 ソウちゃんと来年
 結婚するなんて・・・」

杏は、黙ったまま
何も言えない。
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