明日、高篠先生と一緒に笑って恋が始まる。
9 それぞれの、ふたり
・from 葵
---from 葵---
返せなかったな。
そう思いながらアタシは手のひらの中にある小さなモノを見てため息をつく。
化学室の前にあったから先生のかなと思って先生のところまで行ったけどなんとなく返せなかった。
先生これないと困るんじゃないかな。
でもあんなことがあってもう先生の側に行けないと思ってたけど。
それでもアタシはなんとなくその鍵が先生とアタシと繋ぐ唯一のモノだから…
そう思ったら。
いいよね…持ってても…。
ごめんなさい、先生。