修羅と荊の道を行け
「あの!大丈夫です!」

私はずるずると引きずられて給湯室まで連れて来られた。

「で、どうしてビンタなんてされたの?」

「殴り返したって本当?」

志水時子さんを筆頭に質問責めに合う。

これが辛い。

悪い人たちじゃないが、人の恋愛事が大好きな人達で、干渉を嫌う人達は必死に付き合ってることを隠している。

私は隠す必要はないと思ってたけど、知らせることもしたくなかったから黙っていた。

だが白倉さんに聞いた岡崎が全部喋ってしまった。

色事に縁遠い私が彼氏が出来たと知ると、津波の如く押し寄せてきた。

付き合い始めた時も凄かったけど、今は別れるかどうかの瀬戸際かと思われているのか目がキラキラしている。

人の不幸は蜜の味とはよく言ったものだ。

「今日、会ってお互いにごめんなさいするから大丈夫です」
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