修羅と荊の道を行け
顔もペタペタと色んなものを塗りたくられて、顔中が重い。

「はい、完成。これで彼氏も土下座で謝ってくれるわよ」

志水さんは得意げなかおをしているけど、この時点で私は疲れてしまった。

「あらあら、可愛くしてもらったの?」

「渡辺さん、こんにちわ」

渡辺瞳さんは私が入社してすぐにつけられた人で、大変お世話になった。


仕事を一から教えてもらった。

今は白倉さんの所にいるけど、今でも尊敬しているクリエイターとしても女性としても。

「聞いたわよ。彼氏にビンタされて、仕返しにボディに一発と踵落としをお見舞いしたんだってね」

「行き違いがあっただけです。今日、話し合いを設けることに」

「頑張ってね。そうだ、このグロス良いわよ」

渡辺さんも私の顔をいじくり始めた。

「色が白いからなんでも似合うわね」

席に戻ってようやく一息ついた。

全員がこっちを見ている。
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