修羅と荊の道を行け
「さぁ、美世花は打算的な所があるからんからないな」

小さい頃は凄く可愛くて、お姉ちゃんお姉ちゃんと後をついて来たくせに、口ばかりが達者になってきて困る。

とぶちぶちと零す咲耶だが、同じ下の子として生まれたものとすれば、美世花ちゃんは寂しいのだと分かった。大好きな姉が、自分のことに余り構ってくれなくなったのが淋しくて仕方ないのだ。だから困らせることを言って姉の気を引きたいんだ。

自分にも覚えがある。今は会話の少なくなった兄弟だが、二番目の兄は面倒見の良い兄で、自分を可愛がってくれた、彼が中学に上がって野球に夢中になると自分との時間がなくなり、淋しいと思った。男のプライドがありいうことは出来なかったが、美世花ちゃんと同じだ。

咲耶は仕事に夢中だし、氷樹との関係も良好だし、今は尚更自分がいるし、いて欲しいと思っている。

美世花ちゃんには悪いが咲耶をしばらくは独占させてもらおう。
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