修羅と荊の道を行け
｢はい、着きました｣

｢ありがとうな。休みなのに｣

｢大丈夫。お仕事頑張ってね｣

仕事に『お』を付けただけで可愛さが倍増する。

｢またメールするから｣

｢うん｣

シートベルトを外して、下りようとしたが、ふと思いついた。

｢咲耶｣

｢ん？｣

咲耶がこっちを向いた瞬間に、フロントガラスの方に鞄で目隠しをして、咲耶にキスをした。

｢これで１００％｣

反論を受け付ける前に外に出た。

車内を見ると、咲耶が口をパクパクしながらこっちを見ていた。

顔が段々赤くなっていく様が可愛い。

軽く手を振って、職場に入ると、全員がオレの方を向いた。

｢どこのホストが入って来たかと思ったわよ｣

｢オレの服じゃないです。昨日、彼女の家に泊まったんです｣

｢まさかお父さんの服ってわけじゃないよな？｣

｢隣の花屋の兄ちゃんの服です｣

｢は？｣

余計なことを聞かれる前、煙に撒いて仕事を始めた。
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