修羅と荊の道を行け
少し、きつい言い方をしてみた。

「それは…」

「仕事を第一に考えるのは結構だけど、氷樹ちゃんを傷つけるのは許さないから。泣かせたら授賞式の蹴りと掌底なんて比べものにならないものお見舞いするから」

そう言い残して、エレベーターに乗り、反論を受ける前に扉を閉めた。



「あはは、怖いなぁ。そいつ完全にぶるったんじゃないか?」

家に帰ると浪川くんから電話が来てことの顛末を話した。

「だって許せないもの。氷樹先生、ご飯食べれないくらい心配だったのに、それをドタキャンするんだから」

「友情に厚いな。にしてもカウンターの咲耶さんが先制攻撃ってのもあるんだな」

「これぐらいやっても多分同じことは起こるよ。だから、言葉だけを送りました。今度やったら本当に蹴り入れてやるんだから」

「ほどほどにな」

「うん。じゃあまた電話するね。ごめんね遅くに電話して」

「良いよ。咲耶から電話なんて珍しいからな。オレはいつでもOKだ」

そんなことを言って笑いあってケータイを切った。
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