修羅と荊の道を行け
広報のお嬢さんたちがなだれ込んで来た。

広報部と開発室は階が違うのに何でこう、見てたかのように彼女たちは現れる。

「おかげさまで仲直りできました。ありがとうございました」

出来るだけ簡潔的に、過去形で話して行く。

「そうなの。良かったぁ」

「今度の合コン、咲耶さん連れていけなくて残念」

「あはは、お茶冷めちゃうので失礼します」

さっさとトレイを持って給湯室を後にした。

「咲耶、調度良かったわ」

渡辺さんに声をかけられた。

「はい?」

「お茶、置いてからで良いから。第4会議室に来てくれない?白倉さんには了解とってあるから」

「はい」

開発室に戻ってお茶を配ってから白倉さんに断り、渡辺さんの元へ向かう。

「お待たせしました」

「忙しいのにごめんなさいね。座って」

「失礼します」

「彼氏と仲直り出来て良かったわね」

「おかげさま」

渡辺さんはコーラルピンクのグロスが塗られた唇の口角を少しあげて笑った。
< 169 / 432 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop