修羅と荊の道を行け
「どんな?」

「真央花ちゃんが生まれた時、お母さんの具合が悪くて、咲耶をずっと預かってたって」

「うん。私が10才の時だよ。美世華はハルさんが見ててくれたけど私はおばちゃんの家に預けられた。2年間ぐらいかな?家にいるより楽だった」

学校行事は全ておじとおばが来てくれた。運動会の親子のレースではおじが一緒に走ってくれた。

学習発表会の衣装はおばが作ってくれた。

二人のこどもで私は幸せだった。

「だからって本当の親を嫌いなわけじゃないけどね」

「分かってるよ。二人ともお前が可愛くて仕方ないって感じだった。咲耶は本当に大事にされてたことがわかったよ」

「うん」

「今度会う時に咲耶からも聞かせてくれ、咲耶の小さい頃の話し」


「うん」

「じゃあ、仕事頑張れよ」

「ありがとう」

ケータイを切っても、浪川くんの声がこだまする様だった。
< 177 / 432 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop