修羅と荊の道を行け
「あんた、楽しんでるだろ」

「氷樹ちゃんの不幸は楽しんでないわ。あんたが私の言葉に動揺してる様が面白いだけ」

「ドS女!」

「あら、ありがとう。よく言われるわ」

「褒めてねぇよ」

「塩を送りたいけど、年末進行が始まるし、会えるのは年明けだね。その間、氷樹ちゃんのこと考えておきなよ。これ以上、哀しい顔させないで。ストレスが一番よくない、ここに」

自分の下腹部に手を置くと、彼の顔色が変わる。

「あぁ。肝に命じる」

「そうして」

彼と離れて、自分の持ち場で彼を再度見る。

氷樹先生の哀しい顔が浮かんで来る。今もきっとそうだよね?きっと悔しかったよね?仕事ばかりの彼に色々言いたかったはずなのに、我慢して送りだしたんだね。

健気な氷樹先生のために私が出来ることはなんだろう?

必死で考えた。その結果出てきたのは。
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