修羅と荊の道を行け
「じゃあ浪川くんお仕事頑張ってね。これ母がお弁当作ったから食べって」

「悪いな。お母さんによろしく伝えてくれ」

お父さんの車に乗る所で咲耶に声をかけられた。

後部席に座ると隣にお父さんが座った。手には同じ包みを持っていた。

「すいません。朝飯だけじゃなく昼まで」

「家内が少々張り切ったようでな。うちには娘しかいないから眞一郎くんや浪川くんの様に食べてくれる子が来るとついつい作り過ぎてしまうようだ」

「おばさまのご飯は美味しいから食べ過ぎちゃうから、帰ったら運動しないと」

助手席には氷樹さんが乗り込んだ。先に下りるかららしい。

「いってらっしゃい」

咲耶に見送られて車は家をでた。
運転手付きの車に乗るのも初めてだった。


「おじさまありがとうございました」

氷樹さんのマンションの前で止まると、氷樹さんは車を下りてお父さんの方に回った。

「いやいや。氷樹ちゃんは娘の様なものだからいつでも来てくれて構わないさ。家内も下の娘たちも喜ぶよ」
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