修羅と荊の道を行け
あ。この間の発表会に来てた、どこぞの国の王女さまだ。

「先日はありがとうございましたプリンセス」

営業用の笑顔で瞬時に応対した。

「発売を楽しみにしていますよ」

柔和な感じのお姫様が氷樹先生になんの用だろう?

「プリンセス、穂鳥先生になんのご用ですか?」

「お知り合いでしたの?」

「ええ。親友です」

「ではこの方もご存知よね」

と彼氏を見た。

「もちろん」

「私、彼を和樹さんを愛していますの。ですから、そのことを氷樹さんにお伝えしたくてご自宅は教えられないとおっしゃるので来ていただいたんです」

話しを要約すると、お姫様は氷樹先生の彼氏に警護されているうちに惚れてしまい、今回の来日に合わせて告りにきたということらしい。

「あなたから奪おうだなんて大それたことを考えてるわけじゃありませんの。ただ知っておいて頂きたくて」

そんなことを言ってるけど、奪いに来たようなものだ。多分、お姫様は彼氏が氷樹先生よりも自分を選んだと自信をつけている。
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