修羅と荊の道を行け
「どうする?先に手を離されたよ。選ぶ答えを間違えれば、君は一生後悔する。たった一つの約束すら守れなかった恋を」

さぁ、どちらを選ぶと目に力を込める。

氷樹先生の優しさに甘えすぎた子。

さぁ、選びなさい。

部屋に中に沈黙が満ちる。全員が彼氏の言葉を待っている。

「オレは仕事ばかりで、何もしてやれないばかりか、氷樹に辛い思いばかりさせている。いっそ別れて楽にしてやったほうが良いのかもしれないと思う時もあった。だけど、オレが氷樹から離れられない。プリンセス申し訳ありません。あなたの好意は嬉しい。でもオレは氷樹や五百蔵さんが言う様に約束すら守れない」

「その約束は私のために破ってくれたわけではないのですか?」

「オレは上司に恩があります。彼の頼みだけは死んでも断れなかった」

「その方のためでしたの?」

ゆっくりと頷く。

「氷樹に甘えるだけ甘えて、何も返していないんです。人のことを優先させてばかりですが、弱い女でもあるんです」
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