修羅と荊の道を行け
それって犯罪じゃないのか?でも咲耶が通報しなかったら、犯罪じゃないか。

「ホント、いつ用意してたんだかね。でもねみんな楽しそうだった。年末で眉間のシワ寄せ合って仕事してたのに」

「楽しいのが一番だ。せっかくのパーティーだろ」

「うん」

と咲耶が笑った。咲耶も大変だったみたいだから楽しかったのならなによりだ。

「ねぇ、海行こうよ。夜だけど」

「良いぞ。行こう」

途中のコンビニで、温かい飲み物と、コンビニスウィーツを買い込んで、海へ向かう。

「やっぱり寒いね」

「冬の海だからな」

車の外に出ると、波の音が心地よく聞こえてくる。ガキの頃は、夜の海は怖くて仕方なかった。黒い波に連れていかれそうな気がして。

でも相手が恋人ってだけで、全く正反対のことを感じている。

「夜の海って嫌いじゃないんだよね。特に冬は世界の音が少なくなって、海の音が強調される。波の音が心地好いんだ」

隣の咲耶が、目を閉じて、波の音に聴き入る。
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