修羅と荊の道を行け
「叫んでないで!病院に行く準備をしなくちゃ。旦那さん、病院の電話番号を教えてください!電話をかけている間に、入院の準備を!浪川くんは奥さんの腰をさすってて上げて、心奈ちゃんはお母さんの側にいてね」

咲耶はテキパキと指示を出して、産婦人科と連絡をとり、入院の準備を整えた。

その姿は職場で、現場を仕切っている時の姿と酷似していて感動した。

「ありがとう咲耶さん。こんなことまでしてもらって」

「お風呂とあったかいお茶のお礼です」

咲耶は奥さんの腰をさすりながら、奥さんを立たせて玄関まで連れて行く。

「男って、こんなとき何にもできないものですね」

「そうだね。さ、心奈もコート着て、病院に行くぞ」

金橋さんが心奈ちゃんにコートを着せようとするが、

「心奈いかない!お姉ちゃんといる」

と何故かオレの足にしがみついた。

「心奈!お姉さんたちは帰らなきゃいけないんだ!わがままを言うな」
< 249 / 432 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop