修羅と荊の道を行け
どこでヘソを曲げたのか、心奈ちゃんはいかないと、怒り続けた。怒られて、ついに泣いてしまった。

「じゃあ、お姉ちゃんと一緒に待ってようね」

奥さんを車に乗せて戻って来た咲耶が、オレの足にしがみついている心奈ちゃんを抱き上げた。

「さあ、奥さんが待ってますよ。責任を持って心奈ちゃんをお預かりいたします」

「すいません。よろしくお願いします」

金橋さんは深々と頭を下げて病院に向かった。

「ごめんね。勝手なことして、浪川くんは明日も仕事でしょ。私今日は泊まるから、帰っても大丈夫だよ」

咲耶がごめんねと謝って来た。

「大丈夫だ。咲耶も明日、仕事だろ?送って行くよ」

「ありがとう」



時間は深夜2時を回っている。

心奈ちゃんはベッドではやはり眠りたくないと、咲耶のひざ枕で眠っている。

「可愛いね」

髪を撫でながら、咲耶は何度も可愛いと心奈ちゃんを優しい顔で見ていた。

「そうだな」

オレたちもこんな子が欲しいなという台詞は飲み込んだ。まだ早い。落ち着けオレ。
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