修羅と荊の道を行け
案の定、沙羅ちゃんは食事の間中上目遣いで父を見ている。

父が沙羅ちゃんに気をとられている間に、私たちは殆の肉を平らげた。

私と氷樹ちゃんはビールから焼酎そしてワインと酒のはしごをしながら、テレビを見ていた。

「だいたいさ、浪川くんを馬の骨呼ばわりしてたくせにメル友になってるってどうなの?」

「会ってみたら予想以上にいい男でビビッときたんじゃない?」

「どっかの女優じゃあるまいし」

「娘の恋人だもの、最初は敵意を剥き出すのは当然じゃないの?浪川くんは良い男だよ。最初のビンタは間違いとしてカウントしないでおくけど」

「そんなことがあったね」

もう随分と昔の話しみたいに思える。

「咲耶ちゃんとこうして飲めるのも最後かもね」

「どうして?」

「浪川くんの熱心さを見てたら、結婚にとかに一気に踏み込みそうだから」

「まさか」

だって、早くない?それに結婚なんて思うかな?
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