修羅と荊の道を行け
23才の男の子だよ。仕事を始めたばかりだっていうのに。

「考えるでしょ。男だもの」

「そうかな?」

「そう!だって、薬指の指輪を付き合って最初のクリスマスに贈るくらいだもの!可愛いよね、これ」

左手を取られて、クルクルと指輪を回された。

「それより氷樹ちゃん、さっきからケータイ震えてるよ」

テーブルに置いてる氷樹ちゃんのケータイがさっきから震えてテーブルを鳴らしている。

「和樹くんでしょ。良いの良いの。どうせ、明日行くからぐらいの用事だろうし。後でメールしとくし」

「初詣行くんだ。私の晴れ着貸そうか?お母さんに着付け頼むし」

「本当?でも、沙羅を神社に連れてけないし」

「父親に預かって貰えば良いよ。散歩でもどこでも喜んで行くよ」

「でも」

「決まり決まり。じゃあ柄、見に行こう」

飲んだテンションのまま、別の和室に移り、着物を取り出し和服ファッションショーを始めた。

「何で?こんなに持ってるの?」

「まぁ、家業だし。仕事で頼まれてデザインしてそのまま貰ったり、成人式はおじいちゃんとおばちゃんから貰ったのが一着あるし。25才の時に自分でデザインした振袖。どれでもどうぞ」
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