修羅と荊の道を行け
咲耶の家を出るまでに、振袖で仁王立ちした氷樹さんと一悶着あり、 異様に緊張している咲耶を乗せて旅館へ向かった。

「大晦日どうだった?」

「うん。お肉食べたよ。氷樹ちゃんと沙羅ちゃん来てくれて、楽しかった。沙羅ちゃんが父親の膝の上でずっとお肉ねだってて、食べる暇なかったのが面白かった」

「ひでぇ娘たちだな」

「浪川くんは?」

「兄貴と兄貴の家族が来て、昔以上にわけわかんないことになってた」

大晦日は、お袋の手間を考えて、焼肉が行われる。

ガキの頃は争奪戦になっていたが、大人になってからは冷戦みたいに静かに肉を狙う。

だがチビたちのお陰で、賑やかな大晦日になった。

「一番目の兄貴の3番目が今、4歳になったばかりで、どういうわけかオレに懐いて、背中にずっとくっついてたんだ」
< 274 / 432 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop