修羅と荊の道を行け
「浪川くん疲れてる?」

「いや。何でだ?」

「無口になったし」

ヤバい!妄想に耽り過ぎた。

「大丈夫だ。嬉しすぎて言葉に詰まっただけだ」

「変なの」

「変なもんか。お前と旅行に行くのが楽しみで仕方なかった。大晦日から咲耶の家の前で待ってようかって思ったくらいだ」

「捕まっちゃうよ」

「だから止めたんだ」


ようやくいつもの会話が出来るようになった。

機能の夜に氷樹さんの着物を選んだりして楽しかったとか、元旦が明ける前に同僚から明けましてメールが来て、

「岡崎のやつ来年はよろしくしないで、お前のフォローはしなくて良いんだな?って返したら、慌てて、年明けたら物凄い焦った文面でメール送って来て笑っちゃった」

「ははは、お前厳しいな」

「だって、去年は何回白倉さんやチームに迷惑かけたことか」

岡崎という同僚は、私生活で凹むとそれが仕事にも出るらしく、大詰めの時期は、彼は家に帰ることを極力控えていたらしい。
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