修羅と荊の道を行け
「着いたよ〜」

「オレ、寝てた?」

「うん。疲れてたんだね」

温泉に入れば元気になるよ。行こうと誘われ車を降りた。

「浪川くんもパソコンを持って来たんだ」

荷物の中にパソコンを見つけた咲耶が熱心だねと笑った。

「まぁ何があるか分からないから」

連絡などあるはずがないが、もしかしたら何かあるかもしれないため、遠出にパソコンは手放せなかった。

「一緒だね」

それぞれの荷物を持って、旅館の暖簾をくぐった。

「凄いねさすが老舗旅館だね」

「老舗の呉服やの娘が言うことか?」

「旅館と呉服じゃ違うよ」

咲耶はキョロキョロと旅館の中を見ている。そのうちにチェックインを済ませる。

「予約した浪川です」

「はい。ようこそいらっしゃいました。今日から2泊3日のご滞在でございますね」

「はい。こちらにお名前をお願いします」

名前を書いていると、

「新婚さまでいらっしゃいますか?」

と聞かれた。
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