修羅と荊の道を行け
「ええ、まぁ」

嘘じゃない。いずれ夫婦になる。必ずなってみせる!

そう決意も込めて、浪川千尋の隣に咲耶と書いた。

「ではお部屋までご案内いたします」

「はい。咲耶行くぞ」

声をかけると、ちょこちょことオレのそばにかけてきた。

「あの絵綺麗」

指差した先には、雪景色を描いた絵があった。

「あの絵は、先代の女将が描かれたんですよ」

「凄い綺麗ですね」

「ありがとうございます」

咲耶が自分の荷物の画材道具をギュッと握りしめたのが分かった。

「絵の方にお詳しくていらっしゃいますか?」

「そんな、趣味なだけです」

「そうですか。ここの露天風呂から見える景色は綺麗なんですよ」

「楽しみです。早速行ってみます」
咲耶の意識は既に露天風呂に飛んでいる。


部屋に着くなり、鞄から画材のチェックを始める。
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