修羅と荊の道を行け
「スカート濡れてるぞ」

声をかけても聞こえていない。夢中になっているのが少しおもしろくなくて、少し意地悪をしてやろうとジーンズのまま足をお湯に入れて、咲耶の背後に立った。

それでも気づかない。

「スカート濡れてる」

濡れている所をそっと捲る様にして撫で上げると、ヒャッと小さい声を漏らした。

「ななな浪川くん!どうしたの?」
「スカートの裾濡れてるって」

「あー、えっと、どうもありがとうございます…」

「折角、二人きりになったんですから、咲耶さんとお話ししたいんですけど」

「あっ、ごめん…。なんか夢中になって」

「咲耶が絵を描いている所、初めて見た」
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