修羅と荊の道を行け
家族がいないと言っていた。氷樹さんも咲耶を家族だと思っているはずだ。

オレもそんな感じになりたい。いずれは戸籍上でも家族になるつもりだが、その前に家族みたいにいるのが自然な間柄になりたい。

ここで、そのきっかけが作れればと思っている。


「お茶飲む?」

「あぁ」

咲耶がまるで奥さんの様にお茶を入れてくれていると、仲居が御膳を下げに来た。

咲耶が仲居と会話をしていると、オレのケータイが鳴った。

見ると、上司から。どうせ新年の挨拶だとか、飲み会の予定の電話だろうと出ると、

「浪川、緊急事態だ。休み中悪いが出て来てくれ」

「は?無理ですよ!今、オレ旅行中です。年明け前に言ったじゃないですか」

「ちっ、使えねぇ」

舌打ちしやがった。

「何かあったんですか?」

とりあえず用件を聞こう。
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