修羅と荊の道を行け
咲耶が照れ臭そうに笑った。この(元)上司の前では、白倉さんとはまた違った顔をする。

姉にからかわれる妹のようだ。そこもまた可愛らしい。

「それにしても、話しに勝る男前ね。咲耶の彼氏は」

渡辺さんがこちらを見た。

「は?」

「この子の男嫌いは、社内でも有名で、それが突然彼氏が出来たでしょ!ソフトがミリオン出した時よりも早く社内に号外がでたくらいなの」

「渡辺さん!」

咲耶が渡辺さんの口を押さえようと手を伸ばしている。顔が首まで真っ赤で、なんとも微笑ましい。
「咲耶の男嫌いはそんなに凄いものだったんですね」

「そうよ。入社1年目で、激励で肩を叩いた社長を巴投げしたくらいにね」

「だってビックリして…」

巴投げはビックリした範疇を越えているのではないだろうか?

「社長も綺麗に投げられたのが病み付きになって事あるごとに咲耶をからかいに来るんだから、どっちもどっちよ」
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