修羅と荊の道を行け
「どうしたんだ?」

「あのね。さっき渡辺さんにパソコン借りた時にね。女将さんにお願いしたんだ。お米を少し分けて欲しいって…。そしたらおみそ汁と漬物も分けてくれた」

「そっか」

「食べよ」

「おう」

二人で向かい合ってみそ汁を飲んだ。

「夜食一緒に食べるって、あの時以来だな」

「そうだね」

「うん」

あの時は、咲耶の会社アートフロンティアでオレは改装作業の大詰めで、咲耶たちもゲームの仕上げのために会社に残っていた。

初対面での印象が悪かったオレたちは、見れば睨み合う様な仲だった。

そんな咲耶がオレたちが作業しているところに自ら出向いて、夜食を差し入れしてくれた。

そして咲耶たちと一緒に食べて色んなことを話した。その夜食の美味さと、話せばとっつき安く、面白いと印象がだんだん変わって行った。
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