修羅と荊の道を行け
「ねぇ、浪川くん」

「あ?」

咲耶の声で、過去から現実に戻った。

「聞いても良い?」

「どうした?」

少し神妙な声で話す咲耶を見ながら、みそ汁に口をつけた。

「あのね。うちの父親とメル友って本当?」

「ぶっ!」

予想外の言葉にみそ汁を少し椀に戻してしまった。

オレの予想の中では、首を傾げて、『私を選んで後悔してない?』とか『私のこと好き?』って聞かれて、オレは『好きに決まってるさ。オレにはお前だけだ』と言うつもり満々だった。

「メル友っていうか、アドレスを交換しただけっていうか」

「毎日メールしてるって聞いてる」

「まぁ、なんて言うか。朝の挨拶とかな」

「彼女と彼氏か!」

「オレとお前はそうだろ」

なんか、浮気を疑われているような気分になってきた。

「何をメールしてるの?」

「咲耶と今日会ったとか。しばらく会えなくて淋しいとか。咲耶が仕事頑張ってるみたいですとか」
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