修羅と荊の道を行け
せっかく良い布団が敷いてあるのだからそこで寝れば良いのに。

オレは咲耶を布団に移らせようと声をかけた。

「咲耶、布団で寝ろよ。身体がおかしくなるぞ」

咲耶は子供の様にむずがると、少しだけ目を開けて、

「…まだ白倉さんのシナリオが出来てないから帰れない……」

と言ってまた眠った。寝ぼけいる。

「しょうがないな」

抱き上げて、布団の所まで歩く。石鹸の臭いと何か甘い匂いがする。

布団に下ろすと、咲耶がまた目を開けた。

「なみかわくんだ…」

舌ったらずな喋り方が可愛い。頬をそっと撫でると、手を捕まれてほお擦りされた。

「浪川くんの手、きもちい」

「寝ろ。オレに付き合って疲れたろ」

このままいたらヤバいと離れようとしたが、咲耶の腕が突然首に回されて、咲耶の上に引き寄せられた。

「咲耶!」
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