修羅と荊の道を行け
こんな重いものを浪川くんに背負わせたくないし、見せたくない。

「…咲耶、さーくや」

「はいっ」

顔を上げると目の前に浪川くんがいた。

思わず頭を引いてしまった。すぐ後ろの壁に直撃して目の前がチカチカした。

「いたーい」

「あーあ、何してんだよ」

優しくぶつけたところをさすってくれる。

「お仕事終わった?」

「一応な。お待たせと言いたいが、少し眠って良いか?」

顔を見ると確かに疲れている。ダメだという理由はない。

「うん。どうぞ」

「悪いな…。何描いてたんだ?」

スケッチブックを見られた。しまった違うページにしておけば良かった。

「これ、俺か?」

「うん…」

なんか他の絵なら良いけど、似顔絵を見られるとなんか恥ずかしい。

「お前の目に映ってるオレって男前だな。なんか照れるな」

「浪川くんはいっつもこうだよ」

「マジでか。お前に好きでいてもらうためにずっとかっこよくしてないとな」
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