修羅と荊の道を行け
「キスしたいです!して良いですか!」

思った以上にでかい声が出てしまった。浪川くんの目が丸くなってる。

「はい、どうぞ」

優しい顔で頷いてくれた。

先に目を閉じた方が良いのかな?くっつけてから閉じるのが良いのかな?

いつもどうしてた?でもなんかこの優しいお顔を見ていたい気もする。

雰囲気に飲まれてしまえ!と顔を近づけて口を浪川くんの口に押しつけようとした瞬間、

「お夕食の支度にまいりました」


と仲居さんの元気な声が聞こえた。

思わず浪川くんの肩を勢いよく押して、後ろに下がった。

勢いよく押したため、浪川くんが畳に頭をうちつけた音が聞こえた。

「あ、ごめん…なさい」

「いや、まぁ…しかたない」


小さく謝って、仲居さんに返事を返した。
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