修羅と荊の道を行け
「母さん、咲耶のこと知ってんのか?」

「勿論よ。あんたの小学校の先輩よ」

「「えっ」」

咲耶も声を上げた。

「千尋が入学した時、咲耶ちゃんは6年生だし、教室も離れてたから知らないのも当然よ」

オレの通っていた小学校はクラスが10クラスもあって、1年と6年は教室も離れていた。

「じゃあ万里(まさと)兄貴と」

オレの5歳年上、咲耶と同い年の兄貴がいる。

「そうそう。4、5、6年って同じクラスだったの」

テーブルの上にアルバムをドンと乗せた。兄貴のクラスを開くと、確かに咲耶がいた。

名前を確認するまでもなかった。目が、咲耶だ。

咲耶も驚いた顔をしている。

「お名前を聞いてもしかしてって思ったけど、写真を見せてもらって確信したの」


母親はもう咲耶しか目に入ってないようだ。

にしても意外な共通点があったもんだ。

高校や大学は聞いても、小学校なんて聞く流れにはならないからな。
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