修羅と荊の道を行け
荊道12
十弥兄貴が咲耶と話し込んでいる姿を眺めていると、不思議な気分になった。

自分の女が身内とはいえ、他の男と自分の知らないことを話しているという、嫉妬のような感情。

もう一つ、自分の家で、家族に馴染む咲耶を見て安心するっていうか、そんな気分になった。

だが

「レンくん、おねいちゃんと結婚する」

これは許せん。

4歳、浪川蓮聖(なみかわれんせい)がとんでもないことを口にした挙げ句。

「ちゅう」

オレの咲耶にキスまでした。

「あら、蓮聖は綺麗なお姉さんがほんと好きね」

「オレに似て女の趣味は良いな」

と十弥兄貴と義姉は微笑ましく笑っているが、冗談じゃない。

オレがどんだけ苦労して、付き合う所まで行ったと思ってる!

それをあっさりとプロポーズまでしやがって!

許さん!
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