修羅と荊の道を行け
「返せってなんだ!オレの咲耶だっての」

「千尋くんの顔って見てても飽きないね」

「おーい、オレも同じ顔だけど」

「十弥くんは最近、必死な顔しないもの。碧葉(あおば)が生まれてからにやけ顔ばっかり」

碧葉は、義姉の背中で眠っている。1歳の姪っ子だ。こんだけ騒いでも起きない。

「しかたないだろ。可愛いんだから」

そう言って、兄貴は口を開けて眠っている娘の写真を撮った。

「何をバタバタしてるの?咲耶ちゃん、お風呂入ったからどうぞ」

お袋が入って来た。どう思っただろうか?末息子は彼女を抱き上げ、孫は、末息子の彼女を返せと喚き、息子と嫁は笑って見ているこの状況を。



「馬鹿な子だね。4歳にライバル心剥き出しにして」

咲耶が風呂に入ってる最中にお袋に説教を受けた。

「だってよ、蓮聖だって、咲耶と結婚できる位置にいるんだ。オレはどんな芽だろうと摘む覚悟だ」

「ますます馬鹿ね。考えてごらん、蓮聖が法的に結婚できるのは、14年も先なのよ」
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